読売新道 夏山合宿

8月12日、黒部ダム周辺の喧騒から逃げるように早々に湖岸を進む。長い間安定していた天気もここのところ少し怪しげな気配。今日は雲が多いながらも、差し込む日差しは強い。黒部湖の最深部を経て、ほぼ予定通り午後2時過ぎ奥黒部ヒュッテに到着です。

爽やかな風が吹き抜けるテントサイトの緑陰、くつろぎながらそのまま晩御飯へ。寝入りばな雷鳴が轟き、閃光がテントを照らす。雷の子守唄はしばらく周辺の山々を駆け巡っていました。

2日目、いよいよ読売新道へと踏み入ります。水場の無いコースのため、担ぎ上げる水の重さで、より厳しい縦走を強いられます。樹林帯では、小雨が降ったりやんだり、日が差したりの繰り返し。樹々に覆われて雨はむしろ心地良い。稜線より雲間に昨日出発した黒部湖が姿を見せました。その後はガスに視界が遮られ乳白色の世界。数パーティとすれ違うのみの静かな行程です。時折強い風雨に身を委ね、我慢の急登が続きます。出発して7時間弱、このコースの象徴、赤牛岳山頂に到着。その後、天気の落ち着きと共に、気持ちも軽くなり歩みにも余裕が出てきました。適地にて幕営。3日目、4時40分出発。真っ白なガスも次第に晴れ渡り、昨日歩いた稜線が光に照らされています。右手に薬師岳、正面に水晶岳、そしてその左奥には槍ヶ岳も、朝の光を浴びた姿を見せ始めました。もちろん眼下には緑豊かな高天原も望めます。昨日見ることのできなかった分、今日は十分取り返す景色が一日中楽しめました。水晶岳からは360度の展望、読売新道も今日はしっかりと望めます。ここから先は穏やかな縦走路です。気持ちよく進んでいきます。水晶岳のカール、しばらく進んで野口五郎岳のカールが美しいアルプスの光景を演出しています。景色をめいっぱい楽しみながら、白く眩ゆい野口五郎岳を超えていきます。左手に昨日視界が悪い中通過した赤牛岳の全容が現れました。そういえば今回のルートはUの字、馬蹄形になりますね。ようやく行く手にはシンボリックな形状の烏帽子岳が見えてきました。今日の幕営地まであとわずかです。翌朝4時25分出発。樹林を登りきったところで思わず足を止める。最終日、大自然からの素敵なプレゼントが待っていました。眼前に広がる美しい色彩のハーモニー、優美な輝きがゆっくりと描かれていきます。

さあ、あとは高瀬ダムまで慎重に降りましょう。

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