安達太良山

智恵子は遠くを見ながら言ふ

阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に 毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。

智恵子抄のなかの「あどけない話」の一節にふれ、この山を訪れる方も多いようです。

年の瀬のワンデイ登山、雪を求めての安達太良山です。好天を期待するには難しい季節ですが、青い空が広がっています。登山口の標識を起点にさぁ出発です!左手にスキー場を見て、登山道に入ります。

穏やかな天気に早朝の寒さも、山道を歩くにつれ身体も温まり、暑ささえ感じるほどになりました。

くろがね小屋が右上に見えてきました。やはり冬の山、良いコンディションは長くは続かないようですね。

ここからの登り、一気に灰色の雲に覆われ視界も悪くなりました。時折、レースのカーテンから覗くようにうっすらと太陽が顔を出します。今日のお日様は恥ずかしがり屋さん、それ以上は姿を見せてくれません。先頭を交代しながらも、ラッセルというほどではありません。ところどころに落とし穴がありますが、クラストした雪面には気持ち良く軽いステップが切れます。

単調な乳白色の世界にも、雪の造形が現れます。わずかばかりの変化にも、楽しみながら登ります。山での笑顔は、素敵な笑顔、いつもキラキラ輝いていますね。頂上に着きました。展望は全くありませんが、これぞ冬山、雪の山、厳冬期の雰囲気たっぷりです。薬師方面へ下山です。視界はますます悪くなりました。ルートを確認しながら慎重に下ります。左手にうっすら見える地図のイメージ通りの地形に、ほっとした安心感と確信を抱きます。

小さいながらも美しい樹氷です。おっと、あまりのんびりはしていられませんね。仲間から離れないように少し急ぎましょう。

雪が舞い始めました。

スキー場から流れくる歌が、少しづつ近づいてきます。

 

宵からの曇り空が雪にかはり

智恵子抄 「深夜の雪」

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