針ノ木谷
「針ノ木谷」といっても沢登りではなく、船窪小屋の先代主人が有志と復元した「針ノ木古道」のこと。代替わりで組織的な整備が困難になったと耳にしてから3年。廃道に戻る前に、歩いてみることにした。
9/4 扇沢~くろよんロッジ
松本のカモシカスポーツへ寄り道し、七倉登山口に自転車をデポしてから15時過ぎに扇沢へ。駐車場はほぼ満車だが、駅もバスも貸し切り。ちょうど雨も上がり、ダムを渡り黒部湖沿いの道をくろよんロッジまで。テントを張り終え一段落したところで一気に降り出した。
9/5 くろよんロッジ~船窪谷出合
予想外の快晴。丸太梯子のアップダウンを経てダム沿いの路を3時間半、10時の渡し船で対岸へ。親切な船頭さんから「今日は水が少し多めと思います。気を付けて。」と助言が。
下船後1㎞ほど山路を行き下流域が開けると、釣り師のテンバ・焚き火跡が。船窪谷出合までは大小10回ほどの渡渉を繰り返す。水量を勘案し晩夏としたが、水深は身長166㎝の私で腿あたり。水温も低い。シグマとネオプレーン靴下、細引きの装備で十分ではあるが、気温20℃・快晴の日で幸いだった。
南沢出合から1㎞ほどで、180m高度を上げる高巻き道に。踏み跡も枝払いの跡も残っていた。1時間ほどで視界が開け、幅30mほどのガレ沢を渡り、小川のように水の流れる路を進んだ先で針ノ木谷に合流。ほぼ下ることなく高巻き道が終了する。再び渡渉を繰り返し、船窪谷出合へ。丸太を渡り針ノ木谷対岸を行くと、焚き火跡の残るビバーク適地が。予定より2時間早く14時前に到着。船窪小屋まで進める時間だが、焚き火優先で予定通りビバークとした。
9/6 船窪谷出合~七倉登山口
登山靴で慎重に丸太を渡り、対岸へ。針葉樹とシャクナゲの森の急登を1時間半、乗越に出て突然目に飛び込んできた展望が圧巻だった。裏銀座の奥に赤牛岳、高瀬ダムの奥に水晶岳・鷲羽岳。船窪小屋のテンバから先は整備された路になるが、水場は昨年から崩落したままとのこと。谷からのルート上も、ザレ場の下り気味トラバースは崩壊気味で通過に肝を冷やした。七倉岳分岐の標識に針ノ木谷の文字は無かった。
七倉岳(標高2509m)からは右手に裏銀座、左手に餓鬼・唐沢から表銀座の眺望。船窪小屋から天狗の庭へと続く花畑まで、ほんの束の間、雲上の世界を楽しむ。その後は梯子の連続する胸突八丁を一気に下り、3時間かけて七倉尾根を1500m下った。
下山後、荷物と私を七倉に残し、Y成さんはもう一仕事。デポしておいた自転車で七倉ダム・大町ダムを抜け日向山高原バス停へ。そこで自転車を再度デポし、バスで扇沢へ行き車を回収、車で自転車を回収して七倉へ。月曜昼の七倉山荘は貸し切り状態で、風の通り抜けるテラスと露天風呂が心地よかった。
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