庚申山

うっすらと雪化粧をした山々が早朝の光に輝き、広大な牧場には草を食む牛の姿が。ヨーロッパの牧歌的なイメージが広がっています。そして眼下にたなびく雲海に高揚感がさらに高まります。車は霧降高原を走っています。

んっ?何か変、、、ナビの設定ミスに気が付いたのは数10分前の事、大きな声では言えない、決して公言する事のできない内緒の話ですよ。そのおかげを持ちまして、素敵な早朝ドライブのオプションとなりました。

気を取り直して、当初予定の銀山平より出発です。幾日か降り続いた雨も夜半には上がり、予想外の秋晴れとなりました。林道歩きと言えばその多くは単調なものですが、緑色に赤色や黄色が入り混じる、澄みきった秋の輝きは、楽しい林道歩きに変えてくれました。林道を歩き終え登山道へと入ります。10月とはいえまだまだ緑の葉が頑張って主張しています。苔生す岩に光が差し込む幽玄な情景に見入りながら軽やかに進んで行きます。庭園のような穏やかな空間を、沢のせせらぎに耳を傾けながらの素敵なアプローチです。登るにつれ色付く葉も多くなり足下には褐色の落ち葉の柔らかな感触、秋色の世界への誘いです。庚申山荘に着きました。ここで一休み。その後小屋から少し登るとそれまでの雰囲気は劇変。灰褐色の岩壁を背に、色付いた樹々の葉の競演です。この辺りより、地味な山という当初のイメージは消え去りました。ダイナミックな岩の迫力、そして頂上まで続く変化に富んだ情景は、この山の魅力を惜しみなく与えてくれました。敷き詰められた落ち葉の足元も徐々に岩混じりになってきました。巨大な岩の懐に入り込み、岩肌から流れ落ちる雫を顔に受け、左側を登って行きます。岩と紅葉のコントラストを眺めながら登ります。少し視界が開けたところに着きました。ホッと気分も落ち着きます。そして、さらに続く岩山を見上げ、その圧倒的なパワーを堪能。岩と岩との間を進んでいきます。「関東ふれあいの道」との標識がありました。とはいっても、この登山道は奥多摩や秩父方面のそれとは全く異なる危うさがあります。気軽にふれあうと事故にあいかねない「禁断の道」ですね。笹に覆われた道を過ぎ頂上に到着しました。山頂は狭く笹藪の一角からこぶががポツンと突き出た感じです。さぁ下山しましょう。昼前後より天気も曇りがちになりました。下りは滑りやすく要注意です。岩の造形美を楽しみながらも慎重に降りていきます。道は分かりやすいのにぼんやりと歩いていると、いつの間にかあらぬ方へ、わざわざ危険な場所へと降りてしまいました。あれれと?気が付iいた時には少し上で私を呼ぶ声が。こんなことを二度3度と繰り返してしまいました。階段状の登山道、赤褐色の落ち葉は、色々な連想の世界を紡ぎ、軽やかな楽しいイメージを与えてくれます。庚申山荘に戻ってきました。

静寂な小屋の前、かすかに聞こえる、ふれ合う梢の葉音は、雨音のよう。

山での語らいは、このエリアに人知れぬ思いを抱くメンバーに、深い感慨と情感を投影させたように感じました。

林道で4,5匹のウリ坊に遭遇!黒々、丸々、コロコロと可愛すぎ!

岩かげに 風ささやきて ひと葉舞う

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