恋ノ岐川~平ヶ岳

7/23:晴れ

8時、入渓ポイントの恋ノ岐橋にザックと私を下ろし、Y成さんは平ヶ岳登山口に車をデポして樹海ライン15㎞を自転車で移動。車で15分かかる標高差200mの峠道を40分で戻ってきた。支度を整え9時半出発。

入渓地点は両壁の迫る廊下状で沢幅が狭く、水量が多い。歩き始め10分で雪渓を通過。

清水沢出合までは深い釡を持つ小滝の連続。先が長いので体を冷やさないようへつったり、小さく巻いたり。どこも良い具合にホールドがある。

清水沢出合のナメを過ぎるとミニゴルジュと小滝が続く。魚影が多い。浅瀬にいたイワナ?を手で追い込み岩に揚げてみたら、本当に獲れてしまった。後から来たY成さんが驚いている。

1200地点右岸に高さの揃ったブナの大木が見え、段丘ではと当たりをつける。行程中一番のビバーク適地だった。ただ、沢は観望天気に制約があることを考慮に入れて初日の出発を早め、さらに上で幕営する方がローリスクだったと翌日思い知ることに。

7/24:晴れのち雨

7時出発。オホコ沢出合まで5mほどの小滝を次々と進む。オホコ沢出合以降は水量がぐんと減るが、まだまだ沢幅の狭い深い淵と、沢床の浅い幅広の小滝を繰り返す。

13時、思ったより早く雨が来た。悪いことは重なるもので、この左岸のへつりに不可欠な枝を先行者が折ってしまったらしい(画像手前の枝)。左岸の別ルートを開拓するも足場が脆く断念。両足とも崩れ、両手で笹にぶら下がった状態ではビレイも取れず、斜め下のY成さんに腕で支えてもらい九死に一生を得た。笹でもプルージックが効く場合があると初めて知った。

雨足が強くなり一旦岩陰に入って雨具を着込むが、足を止めると寒くて歯がガチガチ鳴る。14時を過ぎた。最後に確認した1680ビバーク地点に戻るか、先を進み、事前にシミュレートした最短ルートで登山道に上がるか。後者を選択した。先ほどの滝は泳いで左壁を直登。流されないよう行程中ここだけロープを出してもらった。

雨は豪雨と化し、数分で水嵩が増し茶色の濁流に。川幅1.5mの箇所には身長を凌ぐ高さに流木が積み重なった増水痕を目にしてきただけに、緊張が高まる。この間は画像を撮る余裕がなかった。

30分ほどで雨足が弱まるも空は暗く、いつまた強まるか分からない。最終取水ポイントとアタリをつけておいた地点で2人分2ℓを補給(平時も取水できるかは不明)。火事場の馬鹿力か、よほど余裕がなかったのか、2㎏分の重さを全く感じなかった。

ラスボス50m大滝。5段に分かれ左に大きく湾曲しているため下からは全容が見えなかった。遡行図最後の滝と思えない水量に様変わりしていたが、これで難所は終わる。ガイド本には「傾斜が強く上部が難しい。3級」とあったが、4~5段目の方がフリクションが効き登りやすい。ヌメリの酷い3段目が怖く、スリングを出してもらい大正解。「全面濡れた状態で水量もあり4級レベルだった」と後日聞かされた。その場で聞かなくてよかった。

5段目は途中まで支流を登り、残り1/3で合流。

その後も遡行図にない小滝が次々と現れた。登山道が最も近づく1800地点で沢を上がる。密藪は想定の範囲だったが、雨で笹が滑り傾斜も強い。できる限り木を足掛かりに最後の大一番となった。

18時半、登山道に合流(画像指差し地点から)。1903ピークを越えて緩傾斜の笹原でビバーク。日没前に泊まり支度を終えた。翌朝食用の簡単な食事を代用し就寝。

7/25:晴れ

5時、池ノ岳へ西へと伸びる稜線上から朝焼けの尾瀬方面を一望。燧ケ岳のシルエットの右手には春合宿で登った景鶴山、その右手に至仏山が。

6時、池ノ岳からの湿原歩きを経て平ヶ岳山頂へ。

山頂からは5時間の下山路。細尾根通過前に靴底を確認すると3枚卸し状態で、ビニール紐とテーピングで補修(ちなみにY成さんのシグマも今回2度目の使用で破損)。12時半、平ヶ岳登山口に下山し、入渓ポイントに戻って自転車を回収。交代で運転し仮眠を取りながら帰宅した。長いようで短い、教訓の多い3日間だった。

山中は蚊が、麓にはアブが多くテント推奨(笑)

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